自死遺族の方で「分かち合いの会」の存在は知ってるけどなかなか行けない・・
参加したことがあるけど、次行こうかずっと迷っている。
そう思っている方も少なくないと思います。
私は兄を亡くした自死遺族で、分かち合いの会をしていたこともあります。※2024年現在休会中
会のイメージが湧いて、少しでも不安が少なくなってほしいと思っています。
安易に「行った方が良いですよ!」とおすすめするわけではありません。
自死遺族の分かち合いの会って?
分かち合いの会は、同じ経験をした人たちが、普段言えない苦しみや悲しみなどの思いを語り合える場です。
遺族のことに限らず、「アルコール依存症の会」や「発達障害の会」「LGBTの会」など、様々なカテゴリーがあります。
各都道府県や市の行政が行っているもの、「自助グループ」という経験者本人が主催をする会があります。
他にもお寺や教会などで開催しているところもあります。その地域により様々ですね。
1人の参加者として
私は2017年から、分かち合いの会を定期的に開いています。 ※2024年1月現在休会中
私も自死遺族の1人なので、「会を開いている立場」ではなく「参加者として」という目線でいたいと思っています。
こちらは兄が亡くなったときの記事です。
行きたい、行ってみたい理由
行ったことがないけど参加してみたい理由を、私なりにまとめました。私が実際に聞いたことや、ネットで見た意見などからです。
行きたい理由
話したい・聞いてもらいたい
- 単純に聞いてほしい、吐き出したい
- 家族や友人や職場などの周りの人にはあまり話せないから、分かち合いの会で話したい
- 何年も何十年も誰にも話したことがなかったけど、「なんか話せそう」と思った
- 話すことで何か変わるのかなと思った
- カウンセリングは何か違う気がする
理由はその人により様々です。
他の人の話を聞いてみたい
家族や近所、職場や学校など身近なところで話ができないということは、その話題が耳に入ることもないですよね。オープンに話せるような話題ではないので、実際に見聞きする情報がとても少ないんです。
自分より年数が経った人の話を参考にしたい
- 自分はまだ年数が浅いので、ある程度年数が経った方の話を聞きたい
- 藁をもすがる思いで、とにかく何かしらの話を聞きたい
- 自分は話せないかもしれないけれど、話を聞くことで何か変わるかもしれないと思う
特に話さなくても良いので、人の話を聞くだけ聞きたいと思われる方ももちろんいます。分かち合いの会も、話を聞くだけの参加も大丈夫です。
具体的な情報がほしい
例えば、亡くなられた方が職場や学校でのトラブルがあった場合に
裁判をおこす例などを経験者の話を聞いて参考にしたいと、具体的な情報を求めて参加される方もおられます。
場合によっては、この分野に詳しい弁護士を紹介できるところもあるようです。
他の方のお話で、弁護士に相談したり裁判を起こしたりしている話を聞いて、「なんだか気が済んだ」と肩の荷がおりたような方もいらっしゃいました。
話せる人には話したけど・・
友人や職場の人で仲の良い人には話した。でも返ってくる言葉にモヤモヤした。
- 求めていないアドバイスをもらった
- 「あなたに私の気持ちは分からない」という激しい怒りが出てきた
- 厳しいことを言われた 「何で気づかなかったの?」等
- 無神経なことを言われた 「楽になったのかな」「本人はそれを選んだんだね」等
- 病気や事故と同じ扱いにされる
私も誰かに話すたびに、全く的外れのアドバイスや分かったような言い方をされたりして、モヤモヤすることばかりでした。
でも善意でアドバイスを言ってくれているのは分かるので、反論はできずに何も言えなくなることが多いです。そんな時に「同じ経験をした人に聞いてもらいたい」と思いました。
気を遣う
- 重い話なので相手の反応ばかり気になる
- 聞かせることが申し訳なくなる
- 空気が重くなる・気まずい
- 何も言われたくない反面「何か言ってほしい」とも思う自分が嫌になる
話せば話すほど気を遣って、軽くなるどころか余計な不快感が増えることもあります。
もう話したくなくなる
以上のように身近な人に話して、知ったようなアドバイス等を聞くたびに
「経験してない人には分からない」という気持ちが強くなる。
だからもう話すことが嫌になって人との関わりを持たなくなる、という人も多くいます。
もちろん、誰にも経験してほしくはないことです。
でも身近では経験者はなかなかいない、いたとしても分からない、また友人に話そうかな・・でもまた嫌な気持ちになるかな・・聞いてくれるのにこんな風に思うなんて私はおかしいのかな・・等、ぐるぐる考えて疲れ果ててしまうことも。
「話せばすっきりするよ」というようなレベルの話ではありませんので、個人的にはカウンセラーなどの専門家に話したり、分かち合いの会で話すことをおすすめします。
このような場所であれば秘密も守られます。
周りの人で、黙って話を聞いてくれる人がいると良いと思うのですが(傾聴ができる人)なかなかそんな人は少ないと感じます。
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もちろん、行く行かないは自由です。
1度行ってみたけどもう行かない、と思うのも当然だと思います。
1度でも行ったことがある
想像していたが、場の空気の重さにまた落ち込む
もちろん楽しい話じゃないので分かっていたことだけど
人の話を聞いていると自分のことと重ねてしまい、普段忘れている場面や思い出を思い出してしまって余計に辛くなった、ということも。
他の参加者に不快なことを言われた
中には他の参加者からの言葉で、嫌な思いをした方もいます。
同じ経験をしたといっても、全然違う人間同士の関わりです。
その時に集まる人によってはあり得ることだと思います。
出来る限り嫌な思いをされないように、主催者やファシリテーターはルール作りや誰も嫌な思いをしないように最大限努力しなければなりません。(多くの会は「他の人に対して批判をしない」などのルールを設けています。)
安心して話せるように努力されていますよ。
人と自分の悲しみを比べられた
「あなたより私の方がしんどい」とか「私に比べればあなたの状況なんて辛くないわ」
などという言葉。
私たちは「不幸比べ」と呼んでいます。
私も実際に何度か言われたことがあります。
自分のことなので、具体的に書きますね。
「子どもを亡くしたことに比べれば、兄弟なんか全然よ。」
「遺体を見ていないならいいね!」
よく覚えているのはこの2つです。言われたときは「まぁ、そうかもしれない」と自分を納得させましたが、後々になってものすっごい腹が立ってきました。
このように配慮のない発言に嫌な思いをする声は、少なくはないと感じます。
いくら辛い思いをしているからといって、私は「悪気はない」で済ませたくはないと思っています。
分かち合いの会ではルールを設けているところが多く、
そのルールの1つに「人と比べる発言はしない」「求められていない意見は言わない」
というようなものが多いです。
ただ、やっぱり感情的になってしまい、比べる発言をされる方も中にはいます。
私は実際に不快なことを言われたときに言い返そうかとも思ったんですが、「自分はルールを守ろう」と思って聞き流しました。
その後何か月もモヤっとしたままだったので、全然聞き流せていませんね・・(笑)
悲しくて苦しくてどうしようもない時、「私が世界で1番不幸」と考えがちな人もいます。
そういった人と比べるような発言は、実は相手に対して強く言いたいことではないと個人的に思うんです。肩をもつわけではありませんが。
それでも言われたほうはかなりモヤっとしますよね。できれば人に対して何か言うのではなく、自分の話や自分の気持ちを話してもらいたいと思います。
それを教訓にして、「自分のほうが辛い」と思っていても言わないように気を付けたいところです。
勝手に決めつけられた
分かち合いの会は基本的に「言いっぱなし・聞きっぱなし」としていて、特に解決をするための話し合いではありません。
しかし質問もされてもいないのに、アドバイスをしたがる人は多いです。
その求めていないアドバイスには嫌な気持ちになりますよね。
私も色々と言われてきましたが、思い出すと腹が立ってくるし長くなるので省略します(笑)
「あなたはこう思うのね」「〇〇〇(亡くなった方)はこういう気持ちだったんだろうね」
などと決めつけて言われるととても不愉快です。
これは分かち合いの会に限らず、日常会話でも同じですね。
すごく話が長い人がいた
分かち合いの会は2時間ぐらい設けられているところが多いと思います。
- 30分間ずっと話し続ける人がいて疲れた
- 話したいことがあったのに時間が足りなくて話せなかった
- 自分が止めるわけにもいかないから聞くしかなかった
- 司会者やファシリテーターが止めなかった
- やんわりとでも止めてほしかった
と余計にモヤモヤした方も。私も経験があります。
その時の参加人数が多ければ話す時間が短くても仕方ないと思えるけれど、ずーーっと同じ人の話を聞くのはとても疲れますね・・・。
一方で、「自分が話すよりも聞いていたい」という方もいるので、人それぞれな所でもありますね。
常連さん同士の身内感が強い
- 仲良しのグループがすでに出来上がっており、輪に入りづらい雰囲気だった
- 話も身内話になっており、ついていけなかった
等、初めて参加された方への配慮が足りなかったのかなと思う話も聞いたことがあります。
1度も行ったことがない
「分かち合いの会」が存在することは知っているが、1度も行ったことがないという人はかなり多いのではないかと私は感じています。
気にはなっているが・・・
ネットの情報やチラシを見て、ずっと頭の中にはあるけど・・気が進まない、という人もたくさんいるのではないでしょうか。
- 傷の舐めあいになるだけではないか
- 変な人がいるんじゃないか、これ以上傷つきたくない
- 人前で話すことがそもそも苦手
- 知っている人に会うんじゃないか
等と、不安要素が強く足が進まないということも当たり前にあるでしょう。
住んでいる市町村の会では顔見知りに会う可能性があり、
それを避けるためにあえて離れたところに行く方もいます。
日程が合わない
- 日時が合わない
- 行政が開催する会は平日が多い
- 休みを取っていくか迷っているうちに時間が過ぎる
会の開催は1ヵ月に1回、2ヵ月に1回などと少し間があくところが多いので、なかなかその日と合わないという方もおられます。
以上が私が感じたり見聞きした、行きたい・行きたくない理由です。
10人居れば10通りの意見があると思うので、これだけではなく様々な理由があるでしょう。
全国自死遺族連絡会の会員のグループです
誰かに話はしたいけど出向くことに抵抗があるという方は、電話サービスを利用することもおすすめします。
こちらのサービスは私がしています。
大切な人を自死で亡くされた方、お話うかがいます 兄を亡くした自死遺族の私。あなたの心の内をお聞かせください
少しでも思いを吐き出す、私はこれがとても大事だと思っています。ほんのいっときでもホッとできる時間を提供したい。そんな思いで始めました。
書籍「会いたい 自死で逝った愛しいあなたへ」
自死遺族の、さまざまな立場の方の思いを生の声でつづった一冊です。
最後に
場所や集まる人によって雰囲気は違います。
そんなの言われなくても当たり前だと思われると思いますが、
結局私が言えるのはこれだけです。
行ってみないと分からない。これも当たり前ですね。
人間同士なので相性の合う合わないも、もちろんありますよね。
主催者・ファシリテーターとの相性も大きなポイントだと思います。
行政の会が良いのか、自助グループの会が良いのかも人によりけりです。
きっかけは悲しいけれど、良い出会いも実際に私はありました。
行くか行かないかはそれぞれですが、私は勇気を出して参加してみて良かったと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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