兄の誕生日に兄の好きだったチーズケーキを買う。自死で逝った私のお兄ちゃん

9月25日。私の兄の誕生日。

兄は、2011年の8月に、自死で亡くなりました。

なんとなく、兄の誕生日が近づくと、ソワソワします。

別に、普通に過ごせば良いんです。

ただ、この時期は、兄に関して色々と思い浮かんできます。ほとんど自動で湧き上がります。

「何かしようかな」「休みをとる?そこまでしなくても良いか?」「お墓参り?今回は違うなぁ」などと。

結局、「お祝い」なんてしても、暗くなるだけでした。

目次

自死で逝った兄の好きだったもので何かしたい

兄が好きだったものは「チーズケーキ」「ビール」「ゲーム」。

昔から、ケーキ屋さんに行くと、兄はチーズケーキ一択でした。

相当好きだったんだな。そういえば、生クリームが苦手だと言っていたな。

ということで、決まりだ。兄の誕生日は、チーズケーキとスパークリングワインで乾杯だ。

8割方、私が食べたいだけだな。

結局何をしても寂しいし虚しい

チーズケーキと、ノンアルコールのスパークリングワインを買いました。

写真撮るのを忘れました・・・。

一人、むさぼり食べる。

美味しいけど、特に楽しくもなく、むしろ虚しい。

わざわざお金をかけて、何をやってるんだと思われるかもしれません。

でも、「何もしない」こともできないんですよね。

生きていたら41歳になっていた兄

「生きていたら、今、〇歳になってる」

遺族の方なら、何度も思うことのひとつだと思います。

41歳の兄。おじさん?まだまだ若い?

老けるか、若々しいか。分かれる年齢かな。とか考える。

兄は独身だったけど、生きていたら結婚していたのかな?

結婚をしていなかったら、両親からプレッシャーをかけられていたかな?

世間体を気にする両親だから。私と姉にも、度々言ってくる。

(私は一度離婚をしていますが。)

生きていたら、結婚しようがしまいが、どっちでもいいのにね。

兄は28歳で亡くなりました。兄が29歳になる、一ヶ月前でした。若いですね。20代なんて。

兄が亡くなったときの年齢を、私はとうに越してしまいました。

上の兄弟が亡くなった場合の、不思議な感覚。

これはずっと慣れない、なんか変な感じがします。

兄に褒められた手作りチーズケーキ

過去に、ケーキ作りにハマったことがある私。私がカフェで働いていたころでした。

13年前くらいになるのかな?一人暮らしをしていた兄が、実家に帰ってきたときに、私はチーズケーキを焼きました。

粗熱がとれて、冷蔵庫で冷やし、カットした。

兄は素直に食べてくれました。

「こんな美味しいケーキが作れるんだ。」兄はこう言ってくれました。

人生で、兄に褒められた記憶は、このときくらい。というくらい、私にとって貴重なことでした。

正直に言うと「兄って人を褒めることができるんだ?」と私は思いました。

「普通」ではなかった家族

うちの家族は素直じゃなく、「ありがとう」とか「おはよう」とかを、言えない家族でした。

特に父が、そういう「当たり前のあいさつ」みたいなことを、あまりしない人たちだったんです。

だからか、家族でお互いを褒める、なんてことはほとんどありませんでした。

私たち3人兄弟は、父から欠点ばかりを言われて育ちました。

母は、父に逆らえない関係でした。なので、母は見てみぬふりをしていました。

育つ過程で、私たちの自己肯定感が高くなることはありません。

書いていると暗い気持ちになる

兄の誕生日を祝おう、なんて思っていたら。

結局、気持ちは暗くなり、両親へのモヤモヤが蘇ってくる。

これは、自死遺族にとって、ずっと続く苦しみのひとつなんでしょうか。

寂しく、虚しく、複雑で。

楽しい思い出を思い出しても、次の瞬間には暗いものが出てくる。

だって、今、いないから。

お誕生日おめでとう、なんて言えないんだよ。

何が「めでたい」のか。今度は、怒りが出てくる。

こんなことを、もう何年も続けています。きっと来年もこんな感じでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

本紹介

大切な人を自死で亡くされた方々の思いを集めた一冊。

色々な立場の人が、それぞれの気持ちを綴られています。

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