Hazel Nuts Chocolate(ヘーゼルナッツチョコレート)さん、略して「へなちょこ」という音楽グループの曲「人生賛歌」。
かわいい曲調で、かわいい声ですが、歌詞がとても深いです。
「人生賛歌」というタイトルだけあって「本当に、それに尽きるよね」「生きていく上で、それさえできれば良いんだわ」と思ったくらいです。
私の兄は2011年に自死で亡くなりました。
兄の遺書に「へなちょこの人生賛歌」が書いてあったのを見て、私はこの曲を始めて知りました。
「良い歌だなぁ」と思って好きになったので、たまに聞きたくなる歌です。
もっと早くに出会っていたら
兄の遺書には一部、こう書かれていました。
ヘーゼルナッツチョコレート へなちょこ の”人生賛歌”
もっと早くこの曲に出会っていたら、何か違ったのかなぁ
私はこの「へなちょこ」さんも曲も知りませんでした。「ヘーゼルナッツチョコレート、略してへなちょこかぁ。うまいこと考えるなぁ。」とぼんやり思ったのを覚えています。
兄は誰も踏み入らないような森の中で亡くなりました。兄の遺体の近くには、兄の荷物が散らばっていたようで、警察の方が回収してくれました。
その中にヘッドフォンがありました。最期、この歌を聞いていたのかなぁ?と私は想像することがあります。
悲しい気持ちになったときは
曲の冒頭の歌詞です。
悲しい気持ちになったときは
悲しいままでほっておくと
いつかは必ず楽しくなって
悲しかったことなんて忘れてるのだ
Hazel Nuts Chocolate 人生賛歌
誰でも「悲しいこと」「辛いこと」「苦しいこと」あると思うんです。
その上で、悩み続ける人と前を向く人の違いってなんだろう。
その理由のひとつに「ちゃんと自分の素直な気持ちを感じる」ことが大事だと思うんです。
気持ちにフタをしない勇気
「悲しい」「辛い」「苦しい」というようなネガティブな気持ちにフタをしてしまったら、その気持ちたちは解消されずにずっと抱えたままになりますよね。
「悲しくなんかない」とか「苦しんでると思われたくない」「気をつかわせたらダメだ」と隠したり、「本当は寂しいのに怒ってしまう」と怒りに変えてしまったり。
そうじゃなくて「悲しいことは悲しい」と気持ちをそのまま受け止めること。それが回復する近道なのかなと思います。
気持ちをそのまま表現できる人にとっては分からない感覚かもしれません。小さなころから気持ちや自分の感覚を抑え込んできた人には、難しいこと。
そんなことを言いつつも、ネガティブな気持ちを真正面から受け止めることは、なかなか勇気がいります。
兄はこの曲に何を思ったのか
兄は自分の気持ちにフタをしていたんだろうか。ネガティブな気持ちを見てみぬふりをしていたんだろうか。
反対に、嬉しいことも嬉しいと思えなかったんだろうか。
「今ココ」「今の自分の気持ち」にフォーカスできないと、とても生きづらいです。
生まれたときから
死んじゃうときまで
悲しんで楽しんで
生きるのだ
Hazel Nuts Chocolate 人生賛歌
この曲は「そのときそのときに向き合う」というイメージです(あくまで私のイメージ)。
過去の後悔や未来の不安ばかり考えたり、相手の気持ちに引きずられたり。「自分が自分じゃない感覚」って辛いですよね。
その辛さにもフタをしてしまったら、どんどん感情がマヒしていってしまいます。そしていつも、ぽっかりと胸に穴が空いている感じになる。
私は幼少期からずっとそんな感覚を抱えてきました。兄も似た感覚をもっていたんだろうか。
いつも「今」だけに集中できていたら、たぶん人生大きく違ったんだろうね。
曲の後半は、誰かと支え合う歌詞になっています。とても染みますね。
兄には、気持ちを分かち合う人はいたのかな。一人でも良いから、本音を言える人がいたのかな。
この曲を聞くとどうしても兄のことを考えます。そのとき私の気持ちは「悲しい」し「寂しい」です。
でも、この曲は本当に良い歌だと思います。
良い面も良くない面も、全部含めて受け入れる。そうやって生きていこうって、励まされる歌です。
聞いてみたいという方は、ぜひ検索してみてください。
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